俳句部会 2020年活動報告

俳句部会

さくら句会(第百六十八回)令和二年十二月二十五日(通信句会)


十二月の句会は、十名により兼題の『師走』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊

五 古ボタン小箱にあふれ一葉忌     まもる
五 寺町のたそがれ頃や菊焚く香     まもる

四 冬茜明かぬ夜なしと染めており    利水
四 さざ波に身をまかせたる浮寝鳥    晃子

三 人の世と桜落葉のうらおもて    勝
三 ラグビーの日向と陰のグラウンド  兆弥
三 閉店のビラ舞ひ降りる師走かな   利水
三 寒暁のラジオの楽はオラトリオ   広

二 牡蠣鍋を食べて慰さむ旅心     まもる
二 街師走払へば払へるツケ一枚    二丁目
二 病窓に南アルプス見え師走     雪子
二 凍雲やコロナ疲れの夕陽落つ    恵那
二 風花や鎧戸閉ざす町の茶舗     広
二 退散を師走に問はば鬼笑ふ     牧羊

一  ぼろ市やキムタク若きブロマイド   雪子
一 これやこのふいご祭の稲荷堂     二丁目
一 これほどに動かぬ街の師走かな    勝
一 北風を来てオムライスまっ黄色    雪子
一 夜の街人まばらなる師走かな     広
一 極月を締めくくりたる居酒かな    恵那
一 冬帽子被りて紳士の顔となり     晃子
一 枇杷咲いて杖甲高き石段や      牧羊

コロナ禍や父母とも会へぬ師走かな  晃子
三密が大賞となる年の暮       利水
客ふたりバスの静かに残り菊     勝 
けとばしのフランス料理や桜鍋    二丁目
何が変わるのか臘月のなすり合い   恵那
店番が居眠りしている師走かな    兆弥  
義士の日や太くて長きロール雲    兆弥
冬服や交差点の色減りにけり     牧羊

さくら句会(第百六十七回)令和二年十一月二十日(通信句会)

       
十一月の句会は、十名により兼題の『木枯(凩)』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊

六 木枯の吹き残したる星ひとつ  まもる 

四 どの家も屋号持つ町鮭颪     雪子
四 木枯や音たて廻る床屋の灯    晃子

三 常となるマスクの下の不精髭  二丁目
三 軽やかな遮断機の音冬日和    兆弥
三 凩や外苑の木の尖りゆく     恵那

二 木枯やとぎれとぎれの鐘の音   利水
二 新しき箒備えて冬はじめ     兆弥
二 木枯らしや不和の夫婦の比翼塚  雪子
二 秋冷えの歓声逆転本塁打      勝
二  父と子の並ぶスケボー小春風  雪子
二 濃く淡く雀色なる秋夕焼     晃子
二 凩や海鳴り響く島の宿       広
二 赴任先へ妻が土産の庭の柿    牧羊

一 地下街の上の凩くにの母     牧羊
一 渓谷や紅ひとさしの薄紅葉    利水
一 繋がれし観光船や鶴きたる    利水
一 ホットウィスキーの湯気不老不死   恵那
一 豊饒の海読み返す冬の海     恵那
一 優勝を逃せし力士竹の春      広
一 地ビールの焦げたる香冬うらら   広
一 爽やかに道ゆく子らやグータッチ  勝
一 木枯しの一号やりて街伏せる    勝
一 木枯らしや缶蹴り娘の前あるく    二丁目
一 かざす手に時雨つめたき家路かな   まもる

音もなく銀杏落葉の散り積もる    まもる
熟れ柿を数多見上げてゐたるかな   二丁目
こがらしに吹き飛ばされし帽子かな   兆弥
小春日や足軽やかな散歩道    晃子
茣蓙の隙間爪先立ちの運動会   牧羊

さくら句会(第百六十六回)令和二年十月二十六日(通信句会)


十月の句会は、十名により兼題の『秋刀魚』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊

五 草の葉にすがりて吹かる秋の蝶    まもる
五 暮れかかる空に緩びしいわし雲    まもる
五 山門を潜る梯子や松手入       牧羊

四 地を這ひて流れる霧や橅の森     広
四 菜箸を焦がして焼くや初秋刀魚    まもる

三 定食の盆に尾を出す秋刀魚かな    晃子    
三 店畳む畳職人冬隣          兆弥

二 次郎柿や故郷持たぬ東京人     二丁目
二 蛇穴に陰陽検査を終えてより    二丁目
二 窓も戸も開けて秋刀魚やワンルーム   雪子
二 大漁の昭和は遙か秋刀魚焼く      利水
二 オンライン講師の胸の菊一輪      利水      
二 街なかを目のみが喋るマスクかな     勝
二 誰しもがくぐる関門老いの秋      恵那
二 亡き兄の形見の靴や秋彼岸       兆弥

一 名も知らぬ秋草いとし人恋し      利水
一 鯊あそび羽田の川の淀みかな      勝
一 半身の秋刀魚おろし金の不満      恵那
一 娘来て秋刀魚焼きをる夕べかな     広
一 秋の蚊の姿も声もなく刺さる      晃子

七輪にさんま烟らす母屋かな        勝
秋めくやカナトコ雲の黒き裾       恵那
ふるさとや鮭のはららご朱鮮やか      広
夏果てやジンタ流るるとしまえん     雪子
スマホ繰る皴深き手や秋祭        雪子
老いてなお路地で秋刀魚を焼く女     二丁目
煙も出ず焼けし秋刀魚を皿にとり     晃子
七輪の昇る煙や秋刀魚火事        兆弥
睨まれた秋刀魚に尽きた愛想かな     牧羊
秋晴れや掃除機唸る南窓         牧羊

さくら句会(第百六十五回)令和二年九月二十六日  (通信句会) 

      
九月の句会は、九名により兼題の『虫』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、兆弥、牧羊

五 念入りに浴槽洗ふ白露けふ  まもる

四 謄本に誰も知らぬ名秋彼岸   雪子
四 秋風に押され万歩の遠出かな  利水
四 微動してむくろとなりぬ秋の蝉 恵那
四 崩れ塀に白き日の降る秋の蝶  広

三 箸を持つ手のふと止まる虫の声 まもる
三 無番地といふ番地なり虫時雨  雪子

二 虫の声小学校に燈ひとつ    広
二 手招きのごとく揺れをり百日紅 まもる
二 出そびれて見上ぐる彼方鳥渡る 利水
二 はやばやと飯炊きあがる夕野分 雪子
二 西域や月にらくだの蒼き影   勝

一 鈴虫が起きよ起きよと鳴く夜明け 兆弥
一 風に乗りかなかなの声届きたり 兆弥
一 ガーデニング長びく夕や虫の声 勝
一 秋の夜や隣家の謡い同い歳   勝
一 アベノミクス病に負けて秋暑し 恵那
一 三密を求めてすだく虫の声   利水
一 白墨の対角線のちんちろりん 二丁目
一 野茨や足捕られても目指す峰  牧羊

病める人捨てる人ありへこき虫  恵那
ノンアルも味に違ひや宵の月   広
東京の大いなる梨食ひたまへ  二丁目
秋彼岸悪霊亡霊入れ借はる   二丁目
台風の余波の雲より雨つぶて   兆弥
なりわひの土間に降るれば蟲の声 牧羊
新涼や海思はざる日は暮れる   牧羊

さくら句会(第百六十四回)令和二年八月二十四日 (通信句会)

      
八月の句会は、十名により兼題の『朝顔』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】晃子,恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、兆弥、牧羊

六 カンナ咲く路面電車の残る町  雪子

五 立ち向かふすべなく籠るかたつむり まもる

三 崖上に人住むらしき南瓜咲く   勝
三 黙然と素麺啜る負け戦    二丁目
三 木洩れ日のさやさや降りて茗荷の子  勝
三 朝顔の絵手紙帰省に代はりけり 利水
三 盆東風や旅の鞄のうす埃    雪子

二 父母に小菊供へて盆となす    広
二 朝顔や母の好みの納戸色   まもる
二 朝顔の色賞でてより長話     勝
二 泥水の滝となりての白さかな  牧羊
二 朝顔の花芽ふくらむ軒しづく   広
二 湯治場の軒まで咲きし牽牛花  兆弥
二 世の動き眺むる日々や日日草  利水
二 話す声聞こへぬほどの蝉しぐれ 晃子

一 朝顔の種こぼれけり薬包紙   雪子
一 朝顔や路地に警官来て覗く  二丁目
一 朝顔や高層階を見上げをり   恵那
一 コロナ禍に負けてはならぬ敗戦忌 恵那
一 風鈴や月の光をしたたらせ  まもる
一 退役の戦艦仰ぐ夏の雲      広
一 炎昼や屋根の焼けたる臭ひあり 兆弥
一 青岬白き灯台白き風      晃子

湘南の松風の中蝉時雨     兆弥
人恋ひて隣家のぞくや立葵   利水
戦争を無き世の八月十五日   恵那
草木染朝顔の色だしにけり   晃子
氾濫の始末どうする川開き  二丁目
緑陰や斑入りの径に息を吐(つ)く 牧羊
門先を掃いて終わって朝顔や  牧羊

さくら句会(第百六十三回)令和二年七月二十七日 (通信句会)


七月の句会は、九名により兼題の『団扇・扇子・扇ぐ』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】晃子、恵那、兆弥、二丁目、広、牧羊、勝、まもる、兆弥


六 過ぎし日の香ほのかな古扇    晃子


五 沈黙を破る扇子を開きけり    雪子
五 貝風鈴海の香りも運びけり    晃子

四 半夏雨網戸に遺る猫の道     雪子

三 出航の船の灯ゆたかパリ―祭  まもる
三 夕べには散る白蓮のなほ白し   雪子

二 サングラスはづして検査結果聞く まもる
二 絵団扇を貰ふ交通安全日    まもる
二 新聞の届きし音や明易し     兆弥

一 似て見ゆる若者の貌青ふくべ    広
一 登校の児童の笑顔梅雨晴間    晃子
一 本棚の隅に数多の団扇かな    恵那
一 待合の女将のあおぐ団扇風    兆弥
一 軒行燈木曾路の宿の渋うちわ    勝
一 浴衣デート紅よ帯よとせかす母   勝
一 町々に祭り稽古の音の無し     勝
一 張扇を打ちて天保水滸伝    二丁目
一 すぐ忘る難読の文字ちんちろりん  広
一 雲の峰押し戴きし小豆島     牧羊
一 渋団扇太鼓鳴るかの夕支度    牧羊
一 杉山に二本滝あり峠坂      牧羊
一 うすものや碁敵はスマホ碁石拭く 恵那

口覆ふガーゼの光る木下闇   二丁目
嘉例吉日花橘の香にあへり   二丁目
長梅雨やマスク付けねば非国民  兆弥
己が過去仮置くPC土用波    恵那
文庫本の細字に倦める団扇かな   広 

さくら句会(第百六十二回)

令和二年六月二十二日(月)
於 桜新町区民集会所第一会議室

六月の句会は、十名により兼題の『万緑』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
           披講 松尾守(俳号・まもる)
【参加者】晃子、恵那、勝、まもる、雪子、兆弥、牧羊(会場参加七名)
  利水、二丁目(上馬の改め)、広、(通信参加三名) ( )は特選

(特選1)五 空の色映して咲きし手毬花      兆弥
(特選1)五 熱帯夜タオル蹴とばす蒙古斑     恵那

(特選1)四 万緑の中や小暗き阿弥陀堂      まもる

(特選2)三 万緑や一日切符尽きるまで       勝
(特選1)三 瀬戸内の海の明るさ花蜜柑       広
    三 くちなしのはや蕾より香を放つ    まもる

(特選1)二 万緑を一気飲みして金平糖      恵那
(特選1)二 万緑や七面山の奥の院        晃子
(特選1)二 風薫る人の流れの行く末は      兆弥
    二 梅雨入やぽつりぽつりと予定表    晃子
    二 踏切の矢印右へ春過ぎる        勝
    二  咲きこぼれ踏まるるままに柿の花   まもる
    二 昼下がり媼(うば)が鰻で一人酒    牧羊
    二 観客の無き球音や風薫る       利水
    二 紫陽花や昨日の色よ今日の色     晃子
    二 寝そべった隣の犬の暑さかな     二丁目
    二 単線の紫陽花を縫ひ渓に沿ひ      勝

    一 万緑や行列長きキッチンカー     雪子
    一 万緑や葉先は淡き檜山        牧羊
(特選1)一 万緑や田舎屋敷は母一人       二丁目
    一 花火の夜茣蓙よりこぼる去年の砂   雪子
    一 グラジオラス揺れて宣言解除さる   恵那

    この星に生まれし不思議立葵      広
    時の日を忘る令和の暦かな      利水
    黴の香を逃がす晴れなし海の宿     牧羊
    万緑に異国のひとと足湯かな      広
    万緑や地球の汚染隠しをり      利水
    万緑や吉行まり子の過ごし家     兆弥
    紫陽花や五輪マークを指で消す    二丁目
    一葉の井戸残る路地藤の花      雪子
令和二年七月のさくら句会
開催日 七月二十七日(月)一三時から 
兼題 団扇うちわ・扇子せんす・扇おうぎ
場所 桜新町区民集会所第一会議室

さくら句会(第百六十一回)(通信句会)令和二年五月

今回は十名の方にご参加いただきました。

【参加者】晃子、恵那、上馬の、広、牧羊、勝、まもる、雪子、利水、兆弥(十名)

(特選1)五 老生に戻る日告げや燕の子        勝

(特選1)四 屋根を打ちまろぶ実梅の行方かな     まもる
(特選1)四 制服の二の腕まぶし更衣         まもる

    三 断捨離の苦手なる妻更衣         広
(特選1)三 二の腕の注射の跡や衣更         利水
   三 山の風襟へと抜ける更衣     雪子
(特選1)三 更衣シャツの薄さの肌触り        兆弥

(特選1)二 疫病のまたぐ季節や衣更         恵那
(特選1)二 ピカピカのランド背負はず衣更      勝
    二 たぐり揚ぐ近江の小港もろこ網      勝
(特選1)二 我知らず春満月に手を合はす       まもる
    二 更衣明日まで待てぬ今日の服       晃子
    二 薔薇の香に酔ひてベンチに足止むる    晃子
    二 甚平や疫病(えやみ)の歴史上下巻    広
(特選1)二 校庭に白波寄する更衣          雪子

    一 接触を十割絶って女郎花         恵那
    一 店先にほのかな香り桜餅         晃子
(特選1)一 コロナにはどこ吹く風の青葉かな     利水
    一 五月雨や大威張りなる引き篭り      利水
    一 衣替へて新しき日常を問ふ        雪子
    一 アオザイを素足のままで靴はいて     上馬の
    一 麦の秋九九のおさらい風呂の中      牧羊
    一 聖五月真っ白になりたる予定表      兆弥
    一 右膝に痛み走りて五月尽         兆弥

     第二波や蛇の出た藪忍び足        牧羊
     テレワーク去年よりゆるり衣更え     牧羊
     春寒しディスタンスが保てない      恵那
     折込なき朝刊薄し蟾の声         広
     五月祭「不屈の民」を知らざるや     上馬の
     白骨の魂語る蓮如の忌          上馬の

さくら句会(第百六十回)


                    令和二年二月二十四日
                    於 桜新町区民集会所第一会議室

二月の句会は、十名により兼題の『紅梅』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
     披講 下田晃子(俳号・晃子)

    (特選二) 五  蕗味噌の少し残して妻逝きぬ     勝
    (特選一) 五  行灯に母の面影母の雛        広
          五  雪吊りのゆるびし縄の風に鳴る    まもる

    (特選一) 四  池の面を少し盛り上げ蝌蚪群るる   まもる
          四  紅梅の香の中逝きし句兄かな     兆弥

    (特選二) 三  つくばいの水にあふれし春の空    利水

    (特選二) 二  木の芽晴れ野生インコの群なして   晃子
    (特選一) 二  早天の薄紅梅と白い月        上馬の
    (特選一) 二  アールグレイの柔き酸味や春隣    恵那
          二  紅梅や村の娘に似た観音像      雪子
          二  空席を一つ見つけて春麗       恵那
          二  揚げて良し和へてなほ良し蕗の薹   晃子
          二  紅梅や女将ひとりの小料理屋     広
          二  春めくや真珠飾りし白き髪      雪子

          一  子連れ母荷物多しや春暑し      広
          一  ありのまま枯れて吹かるる猫じゃらし 勝
          一  紅梅や弔問の庭に紅すぎて      勝
          一  バス停を立去りがたき野梅かな    上馬の
          一  紅梅の由来の札や江戸薫る      利水              
          一  紅梅や微かに違ふ紅の色       晃子
          一  黒楽の底まっくらや利久の忌     雪子
          一  落椿器に入れて早七日        兆弥

             三本の河津桜や生徒待つ       兆弥
             白壁の棟瓦燃ゆ紅梅よ        牧羊
             紅梅や角の喫茶店でダージリン    恵那
             ベランダの花々春を先取りぬ     利水
             紅梅も舞ひ散る日差し合格日     牧羊
             新しきこども園建つ沈丁花      牧羊
             へびいでてすぐに監視カメラかな   上馬の
             雨に濡れ紅梅の色深まりぬ      まもる

さくら句会【第百五十九回】


                    令和二年一月二十七日
                    於 桜新町区民集会所第一会議室

十二月の句会は、初参加の田波直子(俳号・直)さんを加え十名と一名の
の投句により兼題の『人日』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
     披講 田中 勝(俳号・勝)

    (特選二) 五  豆まきや胸に小鬼の棲みし日も    雪子
    (特選一) 五  旅の夜のスマホに届く年賀かな    雪子
    (特選一) 五  冬麗身重の嫁のスニーカー      恵那

          四  北風が絡めとる色街沈む       勝

          三  つれあひの頬の赤さや雪見酒     上馬の
          三  人日のジビエの肉に舌づつみ     広
          三  逃したる奴はレバノン除夜の鐘    牧羊

    (特選一) 二  木漏れ日に刺されていたい小正月   恵那
    (特選二) 二  人の日や親に見せない恋占ひ     上馬の
    (特選一) 二  どの帯もみな派手目なり女正月    たか二
          二  へばりつく青草もあり冬のゆく    勝
          二  冬休どこでもドアでベイルート    牧羊
          二  冬茜影絵のごとき小さき富士     晃子

    (特選一) 一  人日のラジオ体操子も集ふ      広
    (特選一) 一  日の出でて日の入りてはや七日かな  利水
    (特選一) 一  人日や一升の酒の飲み納め      兆弥
          一  正座して主待つ犬北颪        たか二
          一  買い手待つひる人日の骨董店     勝              
          一  初詣鳥居くぐりてなほ半ば      利水
          一  里山にとんび笛吹き春隣       まもる
          一  若水や小窓に朝の光さす       晃子
          一  手弱女を親に持つたか冬の蠅     上馬の
          一  初空や飛行機雲の一文字       利水
          一  人日や鮨に列なす異邦人       まもる
          一  初電車専用発に駅遠のく       広
          一  人日や繰返し読むAI句       雪子
          一  人日や尖り始める腹の虫       恵那

             初場所の幕尻力士勝ちて泣く     まもる
             人の日やおみくじの相読み直す    牧羊
             人びとの行き交ふ街の七日かな    晃子
             いきがりしかぶった日々の冬帽子   直
             受け取りし賀状の文はこれきりと   兆弥
             訪ねくる猫にかつぶしお年玉     直
             人日や孫は博士の許嫁と       たか二
             枯枝の一羽のめじろ飛び立ちぬ    兆弥
             おかゆかむ元旦に想う人日      直

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