さくら句会(第百九十二回)令和四年十二月十九日(通信句会)
十二月の句会は、八名により兼題の「古暦」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
参加者:恵那、広、勝、まもる、雪子、利水、兆弥、牧羊(八名)
五 風花や子らの撫でゆく力石 雪子
四 来し方に秘すべきことも古暦 広
四 はたはたの漁場間近や冬銀河 勝
四 冬晴れや葉山灯台目指す艇 牧羊
三 老境の暮らし露わや古暦 雪子
二 見ぬ年の楽しきを期し古暦 恵那
二 山茶花の垣に目白のかくれんぼ まもる
二 枯木立露わになりし奥の院 利水
二 古暦残る符丁や旅の跡 牧羊
二 山茶花の落花の径を歩み行く 兆弥
二 折れさうに小枝たわませかりんの実 まもる
一 あんこう鍋古書肆亭主歴史好き 勝
一 大欅通る陽ざしや冬の朝 兆弥
一 目力も失せたる傘寿初写真 広
一 短日や本を選りたる書鋪出れば 広
一 古暦名残少なく果てにけり 利水
一 丸首のヒートテックや蜜柑山 恵那
一 夜寒さや子に読んでやるごんぎつね 雪子
一 短日や狭き菓子屋のショーケース 牧羊
古暦残る日数に心急く まもる
初版本最上段に漱石忌 利水
古暦忌中の葉書四枚あり 勝
ドアノブの冷たさにやや躊躇する 恵那
壁掛けの軽くなりたる古暦 兆弥
選句表の勝さんの句「あんこう鍋古書肆亭の歴史好き」 は「あんこう鍋古書肆亭主歴史好き」でした。 私の転記ミスでした。申し訳ございませんでした。
一月の兼題は「初景色」、投句は三句、内一句は兼題句、二句は当期雑詠です。
一月の句会は一月二十三日(月)締め切りの通信句会です。
さくら句会(第百九十一回)令和四年十一月二十八日(通信句会)
十一月の句会は、八名により兼題の「酉の市」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
参加者:恵那、広、勝、まもる、雪子、利水、兆弥、牧羊(八名)
五 海近き田より刈りゆく日和かな 勝
四 酉の市抜けて鼻緒の馴染みけり 勝
四 初時雨樹下に丸まる奈良の鹿 牧羊
三 願い事さらさらなくて熊手買う 恵那
三 撫で肩の和装のをとこ酉の市 広
二 凩や耳に切れめの地域猫 雪子
二 神域を遙かに帰路の三の酉 利水
二 三島忌を不穏の中に迎へけり 利水
二 むく群れて都会の並木姦しき 恵那
二 木の葉髪ハモって歌う同級生 牧羊
一 宅配屋熊手の下を走り抜け 牧羊
一 大秋野球形となる地平線 勝
一 近づけば灯る門燈そぞろ寒 雪子
一 紅(あか)テントありし境内三の酉 雪子
一 月まさに球体に見ゆ皆既蝕 まもる
一 サポーター後を濁さず天高し まもる
一 果樹園や色移ろひて冬に入る 利水
一 瀬戸焼の茶碗はふたつ冬紅葉 恵那
一 三の酉三三拍子響きたり 兆弥
一 断腸亭の文章凛々し冬の梅 広
研屋に出す包丁二本事始 広
久々の人混みたのし酉の市 まもる
樹々の葉を通る初冬の日の光 兆弥
軽やかな落葉を踏みて帰る道 兆弥
さくら句会(第百九十回)令和四年十月二十四日通信句会
十月の句会は、八名により兼題の「鉄瓶」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
参加者:恵那、広、勝、まもる、雪子、利水、兆弥、牧羊(八名)
六 くれなゐの星屑こぼす萩の風 まもる
四 白菊や同志の弔辞訥々と 広
四 ぼろ市や鉄瓶を売る南部弁 雪子
三 床に置く南部鉄瓶菊香る 広
三 カシオペア大海原の道しるべ 恵那
二 秋澄むや窯元つづく上り坂 雪子
二 新蕎麦や手延硝子の揺らぐ窓 雪子
二 鉄瓶のオブジェとなりし秋の暮れ 利水
二 秋ふかし土産の鉄瓶もてあます 恵那
二 秋高し富士あればこそ相模湾 牧羊
一 朝市の柿艶やかに光りをり 兆弥
一 秋鯖の皮こんがりと焦がす頃 勝
一 朱ぎらぎら入江の釣瓶落しかな 勝
一 朝寒やまづ鉄瓶に湯を沸かし まもる
一 女王陛下の笑みとこしえに秋の虹 まもる
一 静かな海泳ぐデジャブや十三夜 恵那
一 鉄瓶にちろりを入れて温め酒 兆弥
一 頭髪のますます薄く火の恋し 広
一 懐手鉄瓶探す京の街 牧羊
一 女子アナの袖の長さや赤い羽根 牧羊
エリンギも茸の仲間太つ腹 兆弥
空港へ降りし異国や天高し 利水
富士の峰小山となりて天高し 利水
鉄瓶のこほろぎに代りしきり鳴り 勝
十一月の兼題は「酉の市」、投句は三句、内一句は兼題句、二句は当期雑詠です。
句会は十一月二十八日(月)十二時三十分~十四時三十分桜新町区民集会所二階第一会議室です。
さくら句会(第百八十九回) 令和四年九月二十六日 通信句会
九月の句会は、九名により兼題の「月」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
なお、二丁目さん(暮田さん)は投句の後、選句の前にお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りいたします。
【参加者】二丁目(投句のみ)、恵那、広、勝、まもる、雪子、利水、牧羊、兆弥(九名)
五 新涼や歩幅ひろがる朝歩き まもる
四 鉄骨の吊られてのぼる鰯雲 まもる
四 萩分けて入るや姉なき姉の家 雪子
三 黄と青の国旗になじみ秋深し 広
三 上弦や旅の支度に躍る胸 牧羊
二 日中から杯を重ねて宵の月 恵那
二 月光に語り合ひをり仁王像 雪子
二 満月や傷つく地球照らしをり 利水
二 月今宵風呂場の窓を開けて観る まもる
二 絡み合い水面ついばむ秋の蝶 恵那
二 残心の構へ崩さず後の月 広
一 明け方の鈴虫の声微かなり 兆弥
一 大伽藍埋めし都の野分かな 牧羊
一 悪党をあの世へ返す秋彼岸 二丁目
一 七輪やきまりは父の焼くさんま 勝
一 一斉に穂先のなびく芒かな 兆弥
一 うろこ雲より彩放つ今日の月 兆弥
一 稲の香や田舟ならべし資料館 雪子
一 抹茶挽く音の香りや秋に入る 利水
一 老いてなほ白髪のごと百日紅 利水
蛇穴に入らんとすれば最終便 二丁目
大江戸と呼ばれし町の月見るや 二丁目
厚塗りよスッピンしか勝たん白粉花 恵那
寝そびれて未来小説星流る 広
薄もみじを栞に吐息恋の本 勝
あの月のよもや戦の基地になど 勝
誰かいふ秋といふ語に重さあり 牧羊
十月の兼題は「鉄瓶」、投句は三句、内一句は兼題句、二句は当期雑詠です。
次回句会は10月24日(月)12:30から桜新町区民集会所2階会議室です。通信句会に変更の場合は10月15日までにお知らせします。
さくら句会(第百八十八回) 令和四年八月二十二日 通信句会
八月の句会は、九名により兼題の「踊」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、兆弥、牧羊(九名)
七 子の去りて広き座敷や秋団扇 牧羊
五 豆茹でる厨に遠き踊歌 雪子
四 夕風や父の好みし黒ビール 雪子
四 友逝くや仰向けの蝉飛び立ちぬ 利水
三 オオタニの背なのでかさや夏の雲 広
三 盆踊り炭坑節で終はりけり まもる
三 かなかなの一途な声の愛(かな)しかり まもる
二 羽化の蝉透けたる翅の薄みどり 兆弥
二 シトラスの香る浴衣や盆踊 広
二 夏の夜や阿呆は踊りアホは観る 恵那
二 月のぼり行く道白し踊り歌 勝
二 ドアノブに回覧板と桃ふたつ まもる
二 材木の上で眺めし踊かな 牧羊
一 旅客機の闇に消へゆく晩夏かな 広
一 隅切の塀に木槿の花白し 雪子
一 後ろから打つが正しき放屁虫 二丁目
一 旅支度追い抜かされし赤蜻蛉 牧羊
みちのくの島のはずれの盆踊 二丁目
ピンポンは日中友好敗戦忌 二丁目
立秋やトリュフ入りのポテチ買う 恵那
LINEで参観保育園の秋祭 恵那
祭笛響く事なく時過ぎぬ 利水
洪水に倒れし稲や戦禍見ゆ 利水
露天風呂いで湯に映る夏の月 兆弥
町内の提灯並ぶ盆踊り 兆弥
古城祉の綱大映す秋の水 勝
膝擦り仰ぐ峠や草いきれ 勝
九月の兼題は「月」、投句は三句、内一句は兼題句、二句は当期雑詠です。締め切りは九月二十六日です。
次回句会も通信句会に致します
さくら句会(第百八十七回) 七月二十五日 通信句会
七月の句会は、十名により兼題の「熱帯夜」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)
五 風を待つ仰向けの猫熱帯夜 兆弥
五 カウベルの音鳴り渡る雲の峰 晃子
四 涼しさや椨の大樹を通る風 兆弥
四 熱帯夜止まぬ愚痴にも堪へてをり 勝
四 熱帯夜くり返し見る同じ夢 雪子
四 食虫花あやしく開く熱帯夜 まもる
三 戦災の記憶うすれず茄子の花 まもる
三 地球儀の赤道なぞる熱帯夜 利水
三 夕凪やネクタイを解くもどかしさ 牧羊
二 台所に人を集める熱帯夜 二丁目
二 熱帯夜小太鼓胸に跳ね踊る 広
一 足元のミントに来たる黄蝶かな 広
一 ショウヘイの投打が晴らす梅雨の憂さ まもる
一 夜が更けて小鳥鳴く声熱帯夜 晃子
一 白檀の香りほのかな夏扇 晃子
一 風入に帰る家郷や冷し瓜 雪子
一 虹立ちて明日こそやると気負いけり 利水
一 心太つるりと喉を通り過ぎ 兆弥
一 熱帯夜熱くて寒き寝覚めかな 恵那
一 接吻の甘さ控えめ一夜酒 恵那
一 雷魚群るダムに備へる蛇の道 二丁目
一 綿なれど鉄より重し熱帯夜 牧羊
上の意を汲みて素早し青蜥蜴 広
日盛や縄文土偶フィギュアめく 雪子
逃げ水や命の向のあれやこれ 勝
感染の無きを羨やむ蝉いちばん 勝
泡盛や肝どんどんと町の夕 二丁目
走馬灯夢の記憶は靄の中 恵那
冷奴薬味あれこれ熱入りぬ 利水
図書館の匂ひ消へけり栗の花 牧羊
八月の兼題は「踊」、投句は三句、内一句は兼題句、二句は当期雑詠です。
さくら句会(第百八十六回) 令和四年六月二十七日
披講:榎並 恵那
六月の句会は、六名の参加で兼題の「金魚」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】広、勝、まもる、雪子、恵那、兆弥(六名)
【欠席投句者】牧羊、二丁目、晃子、利水
四点句
金魚玉軒に危うき小宇宙 利水
夏掛けの軽さに目覚む夜明かな まもる
出目金の角鉢まるく泳ぎけり 晃子
三点句
おのが吐く泡追いかけて金魚浮く まもる
葉隠れに太る梅の実雨今日も 勝
二点句
雨あがり実梅落ちたる道の端 晃子
立葵垣根と背丈競いをり 利水
弓場へ向かふ速足夏木立 雪子
山笠が立てば博多は男酒 二丁目
梅雨晴れ間色ひるがへし風渡る 利水
空の色映してゐたり手毬花 兆彌
炎天や砂利採りて裏山尖る 広
馬車行けり那須野は広し虹二重 勝
一点句
蘭鋳の頭凸凹瘤だらけ 兆彌
梅雨入りや隣の女児のひそやかさ 牧羊
湯屋の窓金魚に任す留守居かな 牧羊
炎昼やアスファルトがなついてる 恵那
梅干の種ころがして宿酔 恵那
老人の配る「赤旗」西日濃し 広
エンディングノート横書き走り梅雨 雪子
声高に梅雨入りを告ぐる尾長たち まもる
無点句
幼き妹と金魚掬いし余市かな 広
音のなく時なき世間や金魚鉢 勝
色褪せて金魚番付梅雨深し 雪子
坪庭の金魚の墓に手を合わせ 二丁目
十薬や古寺の庭を賑わして 晃子
木漏れ日やつま先に咲く柿の花 牧羊
黄丹色炎のごとき凌霄花 兆彌
夢うつつ掬う金魚の右左 恵那
野馬追の再開うれしみちのおく 二丁目
七月の兼題は「熱帯夜」、投句は三句、内一句は兼題句、二句は当期雑詠です。
次回句会は、新型コロナウィルスが蔓延していなければ、七月二十五日(月)午後一時から三時まで桜新町区民集会所第一会議室で開催します。
さくら句会(第百八十五回) 令和四年五月二十三日
五月の句会は、七名の参加で兼題の「新緑・緑さす」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】広、勝、まもる、雪子、利水、恵那、兆弥(七名)
【欠席投句者】牧羊、二丁目、晃子
四 緑さす阿吽の仁王光りをり 利水
三 ひと雨にあじさゐ色を深めけり 守
三 新緑の濃きも淡きも伊豆の山 兆彌
三 母の日や新種新色あふる花 晃子
三 多摩川にせり出す駅や燕とぶ 守
二 祝婚の野外パーティ緑さす 守
二 新緑を抜けて窓辺を揺らす風 晃子
二 新緑や山路明るき橅の森 広
二 登来てふと足止まる夏ざくら 晃子
二 渓を抜け川に沿ふ風洗い鯉 勝
二 どこからも富士見える町茶摘歌 雪子
一 苦瓜の真っ赤に爆ぜり沖縄忌 雪子
一 新緑や雪中行軍像黙す 雪子
一 新緑や病床宛に打つメール 牧羊
一 葉桜に光陰の矢を射られけり 利水
一 夏場所の締め込み叩く音高し 兆彌
一 目通りの読めぬ巨木や夏近し 牧羊
一 飛魚の加速をつけた深みどり 二丁目
この男だけ見てる揚花火 広
向日葵やウクライナの野死の匂ふ 広
若夏の胸元空けた服脱いで 二丁目
梅雨寒やむなしき公務半世紀 二丁目
バラ仕事唇にあそばす紅一輪 勝
知床の遅き緑やいま悲し 勝
祭笛まぼろしのごと届きけり 利水
ずるずると重き長靴田打かな 牧羊
勝った負けた十九番ホール炎ゆ 恵那
木漏れ日とオゾンは栄養緑さす 恵那
皺増えてとうに忘れし子供の日 恵那
薫風に葉蘭ゆらゆら揺れ止まず 兆彌
さくら句会(第百八十四回) 令和四年四月二十二日(通信句会)
四月の句会は、十名により兼題の「昭和の日」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)
七 独り居にかじる干し薯昭和の日 広
五 宿下駄の緩き鼻緒や花曇 雪子
四 新聞を静かに畳む昭和の日 兆弥
四 無言館に友の父の絵昭和の日 雪子
三 引く波の浅瀬に探す桜貝 晃子
三 春眠や夢の中でも眠りをり 利水
三 沈丁の匂へる家と教えらる 勝
二 声残しひばり消えたる空深し まもる
二 四歳の保護猫もらふ竹の秋 雪子
二 空襲をわれも知る身ぞ昭和の日 まもる
二 二の腕のほりもの哀し五月晴 二丁目
二 昭和の日戦火をよそに花の舞ふ 勝
一 昭和の日旧軍人の「戦後」読む 広
一 窓際の女に迫る八重桜 二丁目
一 駄菓子売る婆の居眠り春の蠅 勝
一 庭園のノースポールに風光る 兆弥
一 おくれ毛のなお艶めいて弥生 恵那
一 店先の新作レビュー春大根 恵那
一 八十路来て遠くて近き昭和の日 利水
一 春風も太極拳の舞いとなり 利水
一 転ぶなかれさくら蕊降る土の道 広
一 誰も彼も平和願ひし昭和の日 晃子
一 悪夢なる記憶は消えて昭和の日 恵那
一 梅咲いて山すそに水走りけり 牧羊
夕風にこでまり揺られうれしさう まもる
咲き満ちてライトに浮かぶ八重桜 晃子
ひめみこがカルピス飲むらし昭和の日 二丁目
コロナ禍の快気祝ひと梛木届く 兆弥
降伏がよしと刷り込む昭和の日 牧羊
石舞台台詞の長い雲雀かな 牧羊
さくら句会(第百八十三回)令和四年三月二十一日(通信句会)
三月の句会は、十名により兼題の「長閑」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)
五 鳥曇伯父シベリアを語らざり 雪子
四 天空へ矢じりとなりて鳥帰る 利水
四 はくれんを吸い込むごとき空の青 晃子
四 満潮やゆるり呑まれし春の磯 牧羊
三 風折れのけやきの枝も芽吹き初む まもる
三 鶯の鳴きて季節の定まりぬ 利水
三 春愁や着慣れし服の派手に見ゆ 勝
三 のどかさや猫の欠伸につられたり 兆弥
二 軽トラックの荷台でひさぐ春野菜 まもる
二 のどけしや街角ピアノ弾く童女 まもる
二 次の間に腓返りの雛の客 二丁目
二 遠吠えや路地裏写す春の月 二丁目
二 のどかさや絵筆を洗う水素水 晃子
二 わさび田や小滝にはぜる春気配 勝
一 のどけしや御朱印を待つ長き列 雪子
一 長閑さを探し来たるや深大寺 勝
一 春雷や頗る耳が遠くなり 兆弥
一 のどけしや雉鳩の下後の長鳴き 広
一 水温む田に人影の動きけり 晃子
一 春泥や大国のエゴ彷徨えり 恵那
一 宰相の眼に黒雲のあり受難節 恵那
一 のどけしやかはり番この湯治客 二丁目
一 のどかさや遠くに唸るトラクター 牧羊
のどけしや年内あるか四回目 恵那
長閑さや三密修行もひと休み 利水
ポーなくてケキョと鳴く初音かな 兆弥
四月一日平和ボケ醒め兵志願 広
春場所や観客ありて土俵沸く 広
見え隠る雉の鶏冠や恩賜林 雪子
バス停や通過が続く眠る山 牧羊
さくら句会(第百八十二回)令和四年二月二十八日(通信句会)
二月の句会は、十名により兼題の「冴返る」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)
五 金継の細き光や冴返る 雪子
五 凍て返り鯉巨いなる無愛想 勝
五 干し布団叩きて椋鳥の群発たす まもる
四 亀鳴くや偽り多き年の功 二丁目
四 蕗の薹地元紙そへて届きけり 晃子
四 真夜に聞く犬の遠吠え冴返る まもる
四 わが声の父に似てきし鬼やらひ まもる
三 砂だんご並ぶベンチや水ぬるむ 雪子
三 菓子包む紙の草花春の色 広
二 半島や風の形に藪椿 雪子
二 みちのくの空青々と梅日和 兆弥
二 フィールドを吹き抜ける風冴返る 兆弥
二 満天の星冴え返る山の宿 晃子
一 鳥の巣はバブルの中で窒息す 恵那
一 冴えかえる青き血筋にささる針 恵那
一 さて爪を切ることより事始 恵那
一 観梅や杖の不要になりし妻 広
一 山里の香にふり向けば梅の花 晃子
淡雪や忍者のごとく潜みをり 利水
湯の花の香る長湯や冴返る 利水
紅梅の紅さしたるや枯山水 利水
春節や縁談まとめて関帝廟 二丁目
包められ鼻の先から冴返る 二丁目
ユンボ掘る造園工事冴え返る 広
春の風ネクタイとチーフペズリーに 勝
春ほこり縁に敷居の長きかな 勝
緑道の丸き花芽や蕗の薹 兆弥
丸い背や駅までの道冴返る 牧羊
海鼠壁くっきり長閑長屋門 牧羊
干物の乾きの早さ梅見ごろ 牧羊
さくら句会【第百八十一回】令和四年一月二十二日(通信句会)
一月の句会は、十名により兼題の「去年今年」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)
五 重ね着や少し縮みし夫の丈 雪子
四 去年今年銀座を刻む時計台 晃子
四 曙の色を映して樹々の雪 兆弥
四 茜雲凧を捕らえた大欅 牧羊
三 立ち止まるいつもの角や沈丁花 勝
三 去年今年デジャヴのごとき変異株 雪子
二 薬湯と杖とポットと冬帽子 恵那
二 鷽替へて鞄の中に裏帳簿 二丁目
二 ビニール傘振って水切る春近し 広
二 微熱にも不安の募る去年今年 広
二 あれやこれ引きずりながら去年今年 利水
二 初買や犬の薬を先にして 二丁目
二 御宝は貧乏徳利去年今年 二丁目
二 人混みに出るなと子より初電話 まもる
二 ポリタンク並べて待つや寒の水 雪子
二 大寒や引っ張り出して読む書評 牧羊
一 雪晴れや小枝に遊ぶ鳥の声 晃子
一 去年今年首まで温き終ひ風呂 勝
一 淑気滿つ手合わせ眺むダイヤ富士 晃子
一 ひとつかみ童女のくれしふきのたう 勝
一 繕いて着る昭和は遠し冬の虹 広
一 雪の降る街を音なく歩みたり 兆弥
一 あらたまる事無きままに年迎ふ 利水
子の刻の鐘の音響く去年今年 兆弥
寅の年コロナ失せよと初詣 利水
オミクロンに早や予定消す初暦 まもる
日常の貴さ思ふ去年今年 まもる
開運も前倒しなり去年今年 恵那
駅伝に一喜一憂三日かな 恵那
去年今年居間にはいかぬ吾独り 牧羊