さくら句会(第百八十五回) 令和四年五月二十三日
五月の句会は、七名の参加で兼題の「新緑・緑さす」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】広、勝、まもる、雪子、利水、恵那、兆弥(七名)
【欠席投句者】牧羊、二丁目、晃子
四 緑さす阿吽の仁王光りをり 利水
三 ひと雨にあじさゐ色を深めけり 守
三 新緑の濃きも淡きも伊豆の山 兆彌
三 母の日や新種新色あふる花 晃子
三 多摩川にせり出す駅や燕とぶ 守
二 祝婚の野外パーティ緑さす 守
二 新緑を抜けて窓辺を揺らす風 晃子
二 新緑や山路明るき橅の森 広
二 登来てふと足止まる夏ざくら 晃子
二 渓を抜け川に沿ふ風洗い鯉 勝
二 どこからも富士見える町茶摘歌 雪子
一 苦瓜の真っ赤に爆ぜり沖縄忌 雪子
一 新緑や雪中行軍像黙す 雪子
一 新緑や病床宛に打つメール 牧羊
一 葉桜に光陰の矢を射られけり 利水
一 夏場所の締め込み叩く音高し 兆彌
一 目通りの読めぬ巨木や夏近し 牧羊
一 飛魚の加速をつけた深みどり 二丁目
この男だけ見てる揚花火 広
向日葵やウクライナの野死の匂ふ 広
若夏の胸元空けた服脱いで 二丁目
梅雨寒やむなしき公務半世紀 二丁目
バラ仕事唇にあそばす紅一輪 勝
知床の遅き緑やいま悲し 勝
祭笛まぼろしのごと届きけり 利水
ずるずると重き長靴田打かな 牧羊
勝った負けた十九番ホール炎ゆ 恵那
木漏れ日とオゾンは栄養緑さす 恵那
皺増えてとうに忘れし子供の日 恵那
薫風に葉蘭ゆらゆら揺れ止まず 兆彌
さくら句会(第百八十四回) 令和四年四月二十二日(通信句会)
四月の句会は、十名により兼題の「昭和の日」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)
七 独り居にかじる干し薯昭和の日 広
五 宿下駄の緩き鼻緒や花曇 雪子
四 新聞を静かに畳む昭和の日 兆弥
四 無言館に友の父の絵昭和の日 雪子
三 引く波の浅瀬に探す桜貝 晃子
三 春眠や夢の中でも眠りをり 利水
三 沈丁の匂へる家と教えらる 勝
二 声残しひばり消えたる空深し まもる
二 四歳の保護猫もらふ竹の秋 雪子
二 空襲をわれも知る身ぞ昭和の日 まもる
二 二の腕のほりもの哀し五月晴 二丁目
二 昭和の日戦火をよそに花の舞ふ 勝
一 昭和の日旧軍人の「戦後」読む 広
一 窓際の女に迫る八重桜 二丁目
一 駄菓子売る婆の居眠り春の蠅 勝
一 庭園のノースポールに風光る 兆弥
一 おくれ毛のなお艶めいて弥生 恵那
一 店先の新作レビュー春大根 恵那
一 八十路来て遠くて近き昭和の日 利水
一 春風も太極拳の舞いとなり 利水
一 転ぶなかれさくら蕊降る土の道 広
一 誰も彼も平和願ひし昭和の日 晃子
一 悪夢なる記憶は消えて昭和の日 恵那
一 梅咲いて山すそに水走りけり 牧羊
夕風にこでまり揺られうれしさう まもる
咲き満ちてライトに浮かぶ八重桜 晃子
ひめみこがカルピス飲むらし昭和の日 二丁目
コロナ禍の快気祝ひと梛木届く 兆弥
降伏がよしと刷り込む昭和の日 牧羊
石舞台台詞の長い雲雀かな 牧羊
さくら句会(第百八十三回)令和四年三月二十一日(通信句会)
三月の句会は、十名により兼題の「長閑」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)
五 鳥曇伯父シベリアを語らざり 雪子
四 天空へ矢じりとなりて鳥帰る 利水
四 はくれんを吸い込むごとき空の青 晃子
四 満潮やゆるり呑まれし春の磯 牧羊
三 風折れのけやきの枝も芽吹き初む まもる
三 鶯の鳴きて季節の定まりぬ 利水
三 春愁や着慣れし服の派手に見ゆ 勝
三 のどかさや猫の欠伸につられたり 兆弥
二 軽トラックの荷台でひさぐ春野菜 まもる
二 のどけしや街角ピアノ弾く童女 まもる
二 次の間に腓返りの雛の客 二丁目
二 遠吠えや路地裏写す春の月 二丁目
二 のどかさや絵筆を洗う水素水 晃子
二 わさび田や小滝にはぜる春気配 勝
一 のどけしや御朱印を待つ長き列 雪子
一 長閑さを探し来たるや深大寺 勝
一 春雷や頗る耳が遠くなり 兆弥
一 のどけしや雉鳩の下後の長鳴き 広
一 水温む田に人影の動きけり 晃子
一 春泥や大国のエゴ彷徨えり 恵那
一 宰相の眼に黒雲のあり受難節 恵那
一 のどけしやかはり番この湯治客 二丁目
一 のどかさや遠くに唸るトラクター 牧羊
のどけしや年内あるか四回目 恵那
長閑さや三密修行もひと休み 利水
ポーなくてケキョと鳴く初音かな 兆弥
四月一日平和ボケ醒め兵志願 広
春場所や観客ありて土俵沸く 広
見え隠る雉の鶏冠や恩賜林 雪子
バス停や通過が続く眠る山 牧羊
さくら句会(第百八十二回)令和四年二月二十八日(通信句会)
二月の句会は、十名により兼題の「冴返る」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)
五 金継の細き光や冴返る 雪子
五 凍て返り鯉巨いなる無愛想 勝
五 干し布団叩きて椋鳥の群発たす まもる
四 亀鳴くや偽り多き年の功 二丁目
四 蕗の薹地元紙そへて届きけり 晃子
四 真夜に聞く犬の遠吠え冴返る まもる
四 わが声の父に似てきし鬼やらひ まもる
三 砂だんご並ぶベンチや水ぬるむ 雪子
三 菓子包む紙の草花春の色 広
二 半島や風の形に藪椿 雪子
二 みちのくの空青々と梅日和 兆弥
二 フィールドを吹き抜ける風冴返る 兆弥
二 満天の星冴え返る山の宿 晃子
一 鳥の巣はバブルの中で窒息す 恵那
一 冴えかえる青き血筋にささる針 恵那
一 さて爪を切ることより事始 恵那
一 観梅や杖の不要になりし妻 広
一 山里の香にふり向けば梅の花 晃子
淡雪や忍者のごとく潜みをり 利水
湯の花の香る長湯や冴返る 利水
紅梅の紅さしたるや枯山水 利水
春節や縁談まとめて関帝廟 二丁目
包められ鼻の先から冴返る 二丁目
ユンボ掘る造園工事冴え返る 広
春の風ネクタイとチーフペズリーに 勝
春ほこり縁に敷居の長きかな 勝
緑道の丸き花芽や蕗の薹 兆弥
丸い背や駅までの道冴返る 牧羊
海鼠壁くっきり長閑長屋門 牧羊
干物の乾きの早さ梅見ごろ 牧羊
さくら句会【第百八十一回】令和四年一月二十二日(通信句会)
一月の句会は、十名により兼題の「去年今年」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)
五 重ね着や少し縮みし夫の丈 雪子
四 去年今年銀座を刻む時計台 晃子
四 曙の色を映して樹々の雪 兆弥
四 茜雲凧を捕らえた大欅 牧羊
三 立ち止まるいつもの角や沈丁花 勝
三 去年今年デジャヴのごとき変異株 雪子
二 薬湯と杖とポットと冬帽子 恵那
二 鷽替へて鞄の中に裏帳簿 二丁目
二 ビニール傘振って水切る春近し 広
二 微熱にも不安の募る去年今年 広
二 あれやこれ引きずりながら去年今年 利水
二 初買や犬の薬を先にして 二丁目
二 御宝は貧乏徳利去年今年 二丁目
二 人混みに出るなと子より初電話 まもる
二 ポリタンク並べて待つや寒の水 雪子
二 大寒や引っ張り出して読む書評 牧羊
一 雪晴れや小枝に遊ぶ鳥の声 晃子
一 去年今年首まで温き終ひ風呂 勝
一 淑気滿つ手合わせ眺むダイヤ富士 晃子
一 ひとつかみ童女のくれしふきのたう 勝
一 繕いて着る昭和は遠し冬の虹 広
一 雪の降る街を音なく歩みたり 兆弥
一 あらたまる事無きままに年迎ふ 利水
子の刻の鐘の音響く去年今年 兆弥
寅の年コロナ失せよと初詣 利水
オミクロンに早や予定消す初暦 まもる
日常の貴さ思ふ去年今年 まもる
開運も前倒しなり去年今年 恵那
駅伝に一喜一憂三日かな 恵那
去年今年居間にはいかぬ吾独り 牧羊