松下政経塾の名前は多くの人に知られています。しかしその内側がどうなっているかはあまり知られていないようです。玉川平成会では松下政経塾の現役の塾長をお招きして松下政経塾とはどういうものか直接お話を伺いました。(開催日24/12/13(金) 場所 新橋「潮夢来」中華料理店)。
塾長の遠山敬史氏は1955年の生れで、東京大学経済学部を卒業後、松下電器産業に入社し、同社の常務取締役を最後に退社した2021年に松下政経塾の塾長に就任しました。
始めに塾の創立者である松下幸之助の経歴です。彼は和歌山県の生れで生家が米相場に失敗し、9歳で大阪の船場に奉公に出されます。電気事業に憧れて15歳で大阪電灯に転職し、22歳で独立し二股ソケットの製造販売で成功します。その後105年経って、会社は売上高8.4兆円、従業員23万人のパナソニックに成長したのです。
誰もが彼に質問します。「成功の要因は何か」
答えはいつも決まっていました。
「貧乏で、身体が弱く、学歴がないこと」
常識ではそれは失敗の要因ではないだろうか。
彼の説明はこうです。
貧乏だからお金の大切さを知った、身体が弱いから人に仕事を任せることが出来た、学歴がないから人に聞くことができた。
この人生哲学に立ち彼は言います。
会社は自分のものではなく「社会の公器」である。つまり「社会からの預かりもの」である。正しく経営し社会に貢献すれば必ず利益が得られる、と。
この経営哲学の延長線上に松下政経塾があります。
ここは「自修自得によって、人間(徳)を育み、志を磨く松下幸之助の私塾(道場)である」と定義されています。
詳しい説明は省きますが、塾生は4年間で経営の基礎を学び農業を実習するなど研修に努めます。1,2年生には年間で300万円、3,4年生には500万円が支給されます。
卒塾生は現在まで300名で、それぞれに政治・経済の分野で活躍しています。ちなみに立憲民主党の野田佳彦氏、自民党の高市早苗氏も卒塾生です。
当日資料として配布された卒塾生の写真入り名簿を拝見すると、誰もが明るい笑顔なのが印象的です。松下幸之助が説くリーダーの条件の一は運がいい、二は愛嬌がある、です。本日お話を頂戴した遠山氏は、写真からもお分かりのとおり、リーダーの条件にぴったりです。
参加者 真木郁夫 犬養岬太 加藤直人 荻野健司 佐々木誠 宮田 大 牧 哲郎
2024/12/23 牧 哲郎 記