
厳しい寒さが続きますが、立春も過ぎ、日ごとに日照時間の長さも実感する時候となりました。今年2回目の例会は8日、三軒茶屋の中里地区会館であり、ベテランで世話人でもある尾崎周さん(79政経)が「世田谷の歴史」をテーマに解題を進めました。
都内でも有数の人口規模を持つ世田谷ですが、歴史上、表舞台になった場所はなく、足元の郷土史の認知度は残念ながら高いとは言えません。今回は、尾崎さんが原始時代から紐解き、精通する鎌倉、南北朝、室町の中世史を軸に、「歴史案内人」を務めていきました。足利将軍家一門の吉良氏との縁に触れながら、豪徳寺、世田谷八幡宮の一帯がかつての「世田谷城」の領域だったこと、今も古名が残る「滝坂道」などを紹介し、参加者の関心を巧みに誘っていきました。さらに豪徳寺と徳川譜代筆頭・井伊家との関係、吉良氏の子孫で、忠臣蔵で有名な吉良上野介の話などにも及び、明治以降は日本陸軍の施設が数多くあったという意外な事実を指摘し、解題を終えました。
例会終了後は代表世話人の林馨さん(70理工)から新入会員の報告、目黒稲門会の細谷清さん(74商)からの「ベルばら」にちなんだ現場紹介や「名所・旧跡探訪」の実施案の連絡がありました。
3月例会は佐々木誠さん(92教育)が「日本近代医学制度の舞台裏」、4月例会は西川正敏さん(69商)が「隠れた昭和の名将」をテーマに歴史案内人を務めます。
(藤方聡美/記)