
産業革新投資機構CEOの講話
産業革新投資機構(JIC)という組織の名前は一般にはあまり知られていません。官民出資の投資ファンドで経済産業省所管の認可法人です。その資金の出資先はユニコーンベンチャーのような次世代産業を担う新規事業が対象で、有名なジャパンディスプレイのほか多岐に亘っています。私事ながら筆者が特許出願を手伝った企業も含まれています。
本日の講師はそこの最高経営責任者(CEO)の横尾敬介氏です。慶応大学卒業時の就職活動から始まって現在に至るまでの人生を振り返り「私のリーダーシップ論」を語って頂きました。
(開催日25/4/15(火) 場所 日比谷プレスセンター7階小会議室 ステーキディナー)。
横尾氏は1951年生まれ。大学卒業時には政治家を志しましたが、父親の猛反対で断念し、日本興業銀行に入行。そこの大阪支店勤務中に知り合った女性と結婚。初めての海外赴任先がニューヨークでした。
英語が苦手だったため渡航前にベルリッツで猛勉強しましたが、ニューヨークでは電話が聞き取れず、現地の上司に怒られても平然とやり過ごしたと愉快そうに語ってくれました。
6年余の海外生活を終え帰国後は証券業務に異動し、証券関係のシステム開発に従事。コンピューターの知識がなく「文系のためのコンピューターシステム入門」という本を買って読むレベルでしたが、技術部門の多くの担当者に会って丁寧に教えてもらったことで、却って、多くの人の考えを良く聞くという力が身に付いたそうです。
その後は旧みずほ証券の最後の社長から、新光証券の吸収合併に伴い発足した現・みずほ証券で初代社長に横滑りしまた。そこで株式誤発注事件が起ったのです。みずほ証券の誤発注がシステムのバグで取り消せず400億円超の損失を出した事件です。その損害を取り戻すべく東京証券取引所を相手に裁判で争うことになったのですが、この裁判を通して横尾氏の筋を通す性格が遺憾なく発揮されたようです。
その後は経済同友会の専務理事を務めるなどして政治家と経済人のネットワーク作りにも精力的に取り組んでおられます。
一連のお話しを伺って横尾氏から受けた印象は「明朗・公正・責任」の大切さです。
そこに企業人として成功した基本があるように思えました。
参加者 真木郁夫 犬養岬太 荻野健司 佐々木誠 中島史郎 菅沼堅吾
谷口幸四郎 吉田圭二 横山 修 牧 哲郎 (10名)
25/4/16 牧 哲郎 記