
大型連休も終わり、新緑が眩い時候となった5月10日、いつもの三軒茶屋の区民センターで例会があり、代表世話人の林馨さん(70理工)が「植民地―その幾つかの面」を講題に歴史案内人を務めました。
「植民地」という言葉を聞くと、帝国主義など否定的なイメージを連想してしまいます。それは確かにその通りですが、林さんはローマ帝国まで遡り、植民地の由来や統治、目的などを解きほぐし、「共存・同化型」から「支配・搾取型」など様々な形態があったことを冒頭に提示しました。地域別のアプローチでは、アメリカ大陸の「発見」から先住民の奴隷化そしてアフリカからの黒人奴隷、一方では先住民の奴隷化に反対した人々もスペインにはいました。インド、アフリカ大陸では先住民に対する宗主国の過酷な対応があり、独立後も多くの問題を抱える旧植民地国について解説し、出席者の関心を巧に誘っていきました。
日本が関わった台湾、朝鮮、満州(中国東北部)にも触れ、識字率の向上や学校制度の拡充、ダムなどのインフラ整備があったことを指摘しました。
質疑応答では、厳父が台湾総督府に務められた日野俊郎さん(法72)が当時のエピソードなどを紹介しました。既に歴史の遠いい彼方にある日本の台湾統治の実態を出席者に身近に感じさせてくれました。
6月の例会は場所が変わり、下馬区民集会所となります。担当は藤方で、テーマは「現代アメリカの保守主義とトランプ主義 副題ナチズムとの比較」、7月は目黒稲門会の細谷清さん(商74)が太平洋戦争に至る「日米交渉の真実」を演題に歴史案内人を務めます。
5月は歴史の名所・旧跡探訪もあります。25日午前10時に静岡・三島駅南口に集合。豊臣秀吉による後北条氏の小田原攻めで、落城した山中城跡を有志で訪ねます。関心のある方はお声掛けください。
(藤方聡美/記)