歴史部会 旧前田家本邸散策(2026年5月)

歴史部会

5月30日、歴史部会の有志18名で、目黒区の駒場公園内にある旧前田家本邸(洋館および和館)の見学会を実施しました。

旧前田家本邸は、加賀百万石で知られる旧前田家の第16代当主であり侯爵であった前田利為(としなり)の居宅として、昭和3年から昭和5年にかけて建設されました。洋館は家族の生活の場であるとともに迎賓館としての機能を備え、和館は外国からの賓客に日本文化を紹介する空間として設計されたとされています。

旧前田家は、もともと現在の東京大学本郷キャンパス内に邸宅を構えていましたが、関東大震災後の復興計画に伴い、その土地を隣接していた東京大学へ譲渡しました。そして代替地として現在の駒場公園の敷地を取得し、新たに建設されたのがこの邸宅群です。

洋館は、海外経験の豊富な前田利為の意向を反映した本格的な洋風建築であり、日本の住宅としては当時としても非常に珍しいものでした。土足での生活を前提とし、各部屋には絨毯が敷き詰められ、豪華な調度品や集中暖房設備も備えられていました。戦後、一時期GHQに接収された際に内装の一部が改変されたものの、返還後に復元工事が行われ、現在では当時の優雅な姿を見ることができます。

個人的には、壁紙として用いられていた金唐紙(きんからかみ)を実際に見ることができたことが特に印象に残りました。金唐紙は、西洋で人気のあった高級壁紙「金唐革(きんからかわ)」を和紙で再現したもので、その精巧さと美しさに目を奪われました。

一方、和館は対照的に、本格的かつ豪奢な和風建築となっています。外観は銀閣寺を模しているとされ、数寄屋建築の粋を感じさせます。和館は一時期、隼や零戦のエンジン製造で知られる中島飛行機の所有となりましたが、その後GHQや東京都の管理を経て、現在は目黒区へ移管されています。

今回は、通常は非公開となっている2階部分を見学することができました。美しく整備された庭園に加え、敷地内には二つの茶室が設けられており、当日もそのうちの一室で茶会が催されていました。歴史的建造物が現在も地域文化の場として活用されている様子が印象的でした。

見学会終了後は下北沢の焼き鳥店で懇親会を開催し、参加者同士の親睦を深めました。歴史に触れるとともに、会員相互の交流を深める有意義な一日となりました。

(佐藤 正和 記)

 

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