さくら句会【第百八十回】令和三年十二月二十日
於 桜新町区民集会所第一会議室
十二月の句会は、九名の参加と一名の欠席投句により兼題の「缶コーヒー」一句と自由句二句をもち寄り行われました。
披講 榎並俊一(俳号・恵那)
【参加者】晃子、恵那、広、牧羊、勝、まもる、利水、雪子、兆弥、(九名) 投句参加 二丁目
四 庭石の窪みに光る初氷 まもる
四 冬蝶をまるごと染めし空の青 晃子
三 風花や墓前に赤き缶コーヒー 雪子
三 浮寝鳥ひぐれて石のごとくなり 晃子
三 ちりめんの風呂敷ほどく小春かな 二丁目
三 トロ箱を肩に漢の息白し 広
二 アマゾンにメール一本年用意 雪子
二 缶コーヒーごとんと温し掌 恵那
二 父の座に鉄瓶滾る冬の朝 勝
二 煤払脚立の上の缶コーヒー 牧羊
二 小夜しぐれ会津に買ひし絵蝋燭 雪子
二 黄落の街に火を吐く大道芸 まもる
二 芒枯れ色なき風に抱かるる 勝
一 飛石や紅葉筏の船溜り 牧羊
一 雪吊りの庭師へ抛る缶コーヒー まもる
一 和太鼓の夕陽に染みて冬北斗 恵那
一 カンコーヒー礼に終りし寒稽古 利水
一 “おーいお茶 ”すぐに出てきた缶コーヒー 二丁目
一 築山に紅さしたるや冬椿 利水
一 老ぬれば懐炉に代へて缶コーヒー 二丁目
一 吾輩も住みし早稲田や漱石忌 牧羊
一 襟巻をきつく結びて句会まで 兆弥
一 指揮棒は独裁者なのか冬の雷 恵那
一 握りしむ缶珈琲や冬の朝 兆弥
玉子焼築地に買へる師走かな 広
短日や会議に飲める缶コーヒー 広
酔ひ残る霜道遠し缶コーヒー 勝
熱燗や五臓六腑に染み渡る 兆弥
カレンダー白紙のままに年の暮 利水
冬晴や話詰まりて缶コーヒー 晃子
さくら句会【第百七十九回】令和三年十一月二十二日
於 桜新町区民集会所第一会議室
十一月の句会は、八名の参加と二名の欠席投句により兼題の「小春」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
披講 富塚兆弥(俳号・兆弥)
【参加者】晃子、恵那、広、牧羊、勝、まもる、利水、兆弥、(八名)
五 小春日やこの縁側に父在りし 牧羊
三 演劇の中止の札や落葉舞ふ 利水
三 短日の入日惜しむかとんびの輪 まもる
二 野に生きし匂ひ仄かに牡丹鍋 雪子
二 足弱の犬の腹ばふ小春かな 広
二 舞ひ初めし綿虫に急ぐ庭仕事 まもる
二 秋遠足マスクがはしゃぐバスの窓 牧羊
二 小春空天女となりて雲流る 利水
二 小春日や唸り絶へざる精米機 雪子
二 欅広場あさに落葉の海と化す 広
二 抽斗に季節つめかえそぞろ寒 恵那
二 ほのかなる朝日の色に帰り花 晃子
二 小春日やあい連れ添ひて五十年 兆弥
二 寺町に僧も見えない神無月 二丁目
一 鯊さぐる子連れ運河に水淀む 勝
一 縁側に猫寝そべりて冬に入る 兆弥
一 秋天のラヂヲ体操骨が鳴る 恵那
一 十月の地下鉄に魔女乗来る 雪子
一 夜寒しアガサの悲劇XY 勝
一 門開ける秘密の数字朴落葉 広
一 オリオンや新生活は紐育 牧羊
縁結び糸を深(作者の探の誤記)して神の旅 兆弥
富有柿を一粒残し床を出る 二丁目
小春日や花束持ちて友きたる 晃子
原罪を子に教へんと赤リンゴ 二丁目
先を急ぐ子犬尾巻きて小春かな 勝
小春日やベビーカー押す爺の皺 恵那
縁側の日だまりで食ぶ熟柿かな 二丁目
日向ぼこ日暮れて犬の散歩する 晃子
サイレンに思ひめぐらす夜長かな 利水
さくら句会(第百七十八回)令和三年十月二十五日
於 桜新町区民集会所第一会議室
十月の句会は、六名の参加と二名の欠席投句により兼題の「柿」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
披講 矢後勝洋(俳号・広)
【参加者】恵那、広、まもる、雪子、晃子、兆弥、(六名)
三 反りて見る露坐の大仏秋うらら 雪子
三 こすもすや子供食堂カレーの香 広
二 ひさびさの娘と酌める良夜かな 広
二 稲妻や同じ形の墓千基 雪子
二 地震に覚め来し方想ふ長き夜 まもる
二 越後路の黄金の車窓柿の種 牧羊
二 手土産の焼銀杏のほのぬくし 晃子
二 遺言をしたため柿食う無口なり 恵那
二 レシピ手に柿ジャム作る雨の午後 晃子
二 照る柿や有田の窯の赤絵皿 利水
一 柿日和おさななじみはひ孫連れ 雪子
一 窓そっと締めて座す後の月 恵那
一 秋晴や地球儀回はす旅の夢 晃子
一 夕近き社宅の跡地柿赤し 広
一 紅玉やサラダの中にをさまりぬ 兆弥
一 毬栗を拾ふ軍手の白さかな 兆弥
一 名月を水面の友に露天の湯 利水
一 土石流傷跡乾き秋に入る 利水
帰路美味し柿の葉寿司よ法隆寺 牧羊
さんま食ぶアクリル板に仕切られて まもる
パーシモンのゴルフクラブやシニア層 兆弥
枝たわわ幼子せがむ渋柿や 牧羊
椋鳥と鵯ごもごも食べる木守柿 まもる
妻恋やつまくれなゐの弾けたる 恵那
さくら句会(第百七十七回)令和三年九月通信句会
九月の句会は、十名により兼題の「スマホ」または「スマートフォン」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)
七 峠にて独り蜻蛉の群れの中 牧羊
六 葛咲くや防空壕のありし崖 雪子
五 密なしのスマホでZOOM新酒会 恵那
三 三歩退きスマホに綴じる櫨紅葉 勝
三 網つくろう漁師の背に秋暑し 勝
三 夕風を待ちて鈴虫なきはじむ まもる
二 夫婦茶碗ひとつが割れて穴まどい 恵那
二 山小屋の早い消灯秋の月 牧羊
二 もしもしを笑顔に代えるスマホかな 利水
二 スマートフォンに操られたる夜長かな 雪子
二 水澄むや小石きらりと光りけり 晃子
二 スマートフオン親兄弟に用はなし 二丁目
二 花園の淡き容姿や秋深し 利水
一 池の面にさざ波立ちて涼新た まもる
一 パリ北京スマホの地図に探す秋 まもる
一 秋の空スマホを見つむ五輪の輪 晃子
一 天高し男は知らぬ米相場 二丁目
一 音のなき路地奥に立つ金もくせい 二丁目
一 秋旱さくらの花の狂ひ咲き 兆弥
一 コロナ禍の孤独慰む虫時雨 利水
一 秋立ちて井戸の庭水澄み増せり 勝
一 次世代は香るスマホに金木犀 牧羊
ガラケーはスマホ使えず秋遍路 兆弥
哀れやな茎を折られし彼岸花 兆弥
かなかなや富士の小屋閉め迫りおり 雪子
洗濯の間スマホのゲーム秋暑し 広
花八手人生は百歳の世ぞ 広
ネットに見る鯖缶レシピ秋うらら 広
秋暑しながらスマホとは自由とは 恵那
爽やかな笑顔を添へてありがとう 晃子
さくら句会(第176回)R3/8/18 通信句会
八月の句会は、十名により兼題の「衣被」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)
六 ジャスミンの夜風入りくる厨窓 まもる
五 終戦忌語る人無き独居かな 利水
四 稜線の浮き立ち見ゆる星月夜 晃子
三 五歳には五歳の悩み衣被 雪子
三 衣被里は緑の傘の下 牧羊
三 憲法の本を取り出す敗戦日 兆弥
二 サーファーの去りて潮の香はまなすの香 勝
二 我もまた母の好みし衣被 晃子
二 頬張れば老ひ身たのもし衣被 勝
二 夕照りて葉鶏頭金色に勁し 勝
二 米寿翁西瓜抱へて訪ね来る 兆弥
二 この重さ告ぐ術なくて終戦日 恵那
二 老妻の手なほ艶やかや衣被 広
二 木の床をヒール踏む音夏館 広
二 親をこす六尺あまり竹の春 二丁目
二 湯気あがる祖母の指先きぬかつぎ 二丁目
二 三本の指が働くきぬかつぎ まもる
一 サイコロの皮なき西瓜種飛ばず 利水
一 若冲の鶏(トリ)絵を抜ける暑さかな 雪子
一 秋暑しペディキュアの赤残る指 雪子
一 朝霧やキャンプの食器洗う音 牧羊
衣被エプロンの母偲びけり 利水
女子空手気合い鋭く眉涼し まもる
子の新居訪ねてをりし鵯の啼く 恵那
にんげんの継ぎ手キシキシ衣被 恵那
抽斗に古きお守り送り梅雨 広
衣被つるりと剝きて白きこと 兆弥
淋しげな花あまたある花野かな 晃子
この節はボーイソプラノ蝉時雨 二丁目
子に伝う水の恩人青田時 牧羊
さくら句会(第175回)R3/7/16 通信句会
七月の句会は、十名により兼題の「冷麦」または「冷素麺」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)
七 新しき網戸を通る夜の風 晃子
四 ほうたるの止まりし袖を動かさず 兆弥
四 右左みても渡らぬ毛虫かな 恵那
四 十年の後家の習ひや冷素麺 二丁目
三 蛍火や蒼き時間をつくりだす 恵那
三 冷麦の五種の薬味の揃ひけり 晃子
三 野球部に女子ひとりなり夏あざみ 雪子
三 夕空やともしび色に枇杷熟れて まもる
三 野球帽鍔を後ろに冷素麺 牧羊
二 月下美人ひと夜華やぎ散り果てぬ 晃子
二 迷へどもつまるところはひやそうめん まもる
二 軽鳬の子や親を追ひかけ道よぎる 兆弥
二 紫陽花や表札の跡のこる門 雪子
二 冷麦や昼には終はる庭手入 雪子
一 絵団扇や贔屓負けにし大相撲 広
一 冷麦やアクリル板のある蕎麦屋 広
一 箸立てて冷素麺を捉えけり 利水
一 山峡にたぐる素麵絹の雨 勝
一 弟の姉の背を超しダリアかな 勝
一 白鷺は畦で待ちおり田草取り 牧羊
冷麦や紫蘇生姜葱の備へあり 兆弥
校庭の跳んではしゃいで冷素麺 恵那
薄荷あめ口に含みて涼しかり まもる
青山を土石削りて梅雨あがる 利水
朝顔も江戸仕立てなり馬籠宿 利水
祭絶へ稽古囃子の聞こゆ路地 勝
雹降って殷賑極める裏街道 二丁目
奥入瀬の女滝背にした小半時 二丁目
夏の月道に若もの呑み騒ぐ 広
素麺を流せ流せと餓鬼大将 牧羊
さくら句会(第174会)R3/6/18 通信句会
五月の句会は、十名により兼題の『梅雨晴間』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)
五 父の日や八十路となりて花届く 利水
四 夕づつや愁い見えそむ沙羅の花 まもる
四 六月の大事といふは梅しごと 勝
四 豆苗の育つ窓辺や梅雨の月 雪子
三 いたはられ父の日少し寂しかり まもる
三 したたりや山懐の石仏 二丁目
三 燕の子おなじ五つの口を開け 晃子
三 バラ園の風はバラ色香り立つ 晃子
三 鮎菓子の幟はためく梅雨晴間 雪子
二 梅雨晴間部屋いっぱいに招き入れ 利水
二 老鶯のひと啼き樹々を揺るがせり 兆弥
二 梅雨晴間タオル干しあり美容室 まもる
二 連れ犬を褒めて行き交ふつゆ晴間 勝
二 真似事に畑打ちをり梅雨晴れ間 広
一 日盛や急坂登るアプト式 雪子
一 花街の女重篤業平忌 二丁目
一 つれあひと犬小屋覗く梅雨晴間 二丁目
一 梅雨晴間大蛇怪鳥闊歩せり 恵那
一 コロナ禍や先の見えない梅雨曇り 恵那
一 虹の根に立ちし少女の不思議かな 勝
一 古池の化粧したるや花菖蒲 利水
一 秘仏なるお堂の裏の著莪の群れ 牧羊
巣ごもりのルールを守る大蛇かな 恵那
梅雨晴間ワクチン予約終りけり 晃子
つつきあふ番の鴉梅雨晴れ間 広
江戸風鈴メール広告ばかり来る 広
水色の四片の小さき額の花 兆弥
軒下の野良猫五匹梅雨晴間 兆弥
洗車場流れるように梅雨晴間 牧羊
鰻屋に駆り立てられし闘争心 牧羊
さくら句会(第173回) R3/5/28 通信句会
五月の句会は、十名により兼題の『立夏』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)
六 藤棚や雨の雫も花となり 晃子
四 渓流の瀬音高まる立夏かな 利水
四 草笛はわれは海の子老紳士 牧羊
四 うす色のバックを買ひし立夏の日 晃子
三 石楠花や三州またぐ甲武信岳 雪子
三 種五つ迷ふ撒き場所けさの夏 勝
三 長引くやステイホームの冷奴 広
二 衣更へて妻の背に透く貼り薬 まもる
二 争ひは絶へることなく聖五月 兆弥
二 白富士に黒き裂け目の立夏かな 恵那
二 岩壁に白くひとすじ朝の滝 晃子
二 踏切の矢印右へ春過ぎる 勝
二 歓声が風を追い越し夏に入る 牧羊
二 両国に触れ太鼓鳴り夏来る 兆弥
二 いつまでのコロナ籠りや靴に黴 まもる
一 つばめ乱れ飛ぶ球場は無観客 広
一 足濡らす波の冷たき立夏かな 広
一 ワクチンの接種待たるる今朝の夏 まもる
一 夏来るあざやかなりし脚線美 二丁目
一 眼で語る文楽人形夏立てり 雪子
一 舞止まぬ手話の子の指夏近し 雪子
一 背伸びしても見えぬ春の愁いかな 恵那
けがれなき「水の惑星」卯波立つ 二丁目
郭公の声で目覚める琉球弧 二丁目
皮焼ひて熱き空豆つまみたり 兆弥
緑陰に入りて三世の夢見かな 利水
薔薇一輪不運の王女甦る 利水
夏立つやコロナに慣れてゆく日常 恵那
空囃子せめての祭おらが村 勝
静嘉堂入門の列白牡丹 牧羊
さくら句会(第172回)R3/4/26(通信句会)
四月の句会は、十名により兼題の『春宵』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)
五 干す傘にゆふべの落花二三片 まもる
五 日脚伸ぶ全集括る真田紐 雪子
三 春宵や影絵となりし二人連れ 利水
三 捨てられた特効薬ぞ四月馬鹿 二丁目
三 ベランダの風かぐはしき春の宵 まもる
三 御朱印に押し花添えし花祭り 利水
二 川の音聴く二人あり春の宵 牧羊
二 熊蜂のうなり横切る鐘撞堂 二丁目
二 ウインドのピエロの涙春の宵 雪子
二 ロリータのファッション数多春の宵 恵那
二 水温むコットンパンツの折り目かな 恵那
二 待合の軒灯ともる春の宵 兆弥
二 潮の香の漂ふカフェや春灯 広
一 城跡の堀に小さき花筏 晃子
一 清水に隣る鳥辺野春の月 雪子
一 義士祭駅に届きし塩万十 二丁目
一 口笛に甘き囀り返りけり 利水
一 目黒川遠慮がちなり花衣 勝
一 野良猫も寝るところ在り春の宵 兆弥
一 黄緑に葉の芽吹きたる欅の樹 兆弥
一 これからといふに目が覚め春の夢 まもる
一 本腰の経理の眉間四月かな 牧羊
一 連絡船かもめと遊ぶ春日かな 牧羊
路地裏にざわつくペアー浮かれ猫 恵那
隠家めく旧き酒房や春の宵 広
はつなつの川光をり斎場出づ 広
春の宵今日のディナーは白ワイン 晃子
風をよび光集めし雪柳 晃子
春宵を色行き交へる世田谷線 勝
さくら句会(第171回)R3/3/26(通信句会)
三月の句会は、九名により兼題の『春寒』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】恵那、利水、二丁目、広、勝、まもる、雪子、牧羊、兆弥、(九名)、晃子(選句のみ)
六 湯を注ぐ万古の急須梅白し 広
四 ジーンズの大きな裂け目水温む 恵那
四 下萌や河原に深き出水跡 雪子
三 椿落ち踏みどころなき石畳 まもる
三 喜寿となり何も変わらぬ菫草 兆弥
三 池の面にさざ波立てて春一番 まもる
三 熱きにも堪こらへの無くて蜆汁 勝
三 春寒や昼には終はる一日葬 雪子
二 ある筈の暖簾の影なく春寒し 二丁目
二 春寒や潮音の遠き新造地 勝
二 生垣の香り立ちたる沈丁花 兆弥
二 薄縁の敷かれし順路梅まつり 雪子
二 東風強し北前船の寄せし波止 牧羊
二 島陰へ子の待つらしき春鳶 牧羊
二 ふるさとを見据えて帰る雁帰る 恵那
一 明け方のこむら返りや春寒し まもる
一 医療者の白衣の激務辛夷咲く 利水
一 春寒やまだまだ続くズーム会 恵那
一 春雷やコロナ失せよと響きをり 利水
一 春寒し町の中華屋閉店す 広
一 釣客のふたり数ヘリ水温む 勝
一 春寒やふと持ち上がる灯油缶 牧羊
襟立ててバス待つ人や春寒 利水
猫の恋小石を探す約二人 二丁目
校門に人を迎へて桜咲く 二丁目
春寒や猫も布団に潜り込み 兆弥
のどけしやデイホームに懐メロ歌ふ 広
さくら句会(第170回)R3/2/26(通信句会)
二月の句会は、十名により兼題の『雪晴』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】晃子、恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、兆弥、牧羊(十名)
五 雪晴や干したる夜具の陽の匂ひ 兆弥
五 土の香や雑木林に春の雨 広
四 手の窪にあまる八十路の年の豆 まもる
四 濃き赤の色そのままに落椿 兆弥
四 岬鼻の風のなかなり野水仙 広
三 雪晴やひがな障子に遊ぶ鳥 勝
三 羨ましやかくも激しき猫の恋 利水
三 雪晴や塔のやうなるジャンプ台 広
二 雪晴やグーグルアースに見る故郷 雪子
二 どの梅の下にも人の夕べかな 雪子
二 換気など要らぬ独り居潤目焼く 牧羊
二 菩薩像訪ねる湖東や薄氷 勝
二 雪晴の空をゆっくり観覧車 まもる
一 鳥雲に銀座むすめは泣き腫らす 二丁目
一 重ね着の穴が見つかるラクダかな 二丁目
一 ふきのとう山すこやかに目覚めけり 雪子、
一 探梅の人ぽつりぽつりや花ぽつり 勝
一 桜餅残りし指の桜の香 晃子
一 雪晴れや梢を渡る鳥の声 晃子
一 暗闇のさきにぼんやり雨水かな 恵那
一 ひと雨にグランドの隅草萌ゆる まもる
一 雪晴やそぞろにぎわう裏小路 牧羊
春一番ブラスバンドの音走る 利水
雪晴を瞼つむりて想ひけり 利水
雪晴れの湖畔にひびく武田節 二丁目
いつもの朝雪晴のラジオ体操 恵那
梅咲くや過疎の神社の古き門 晃子
凛として白梅天に向かひたり 兆弥
キラ星を探す如月のベランダ 恵那
東風吹いて菅公頼む親繁し 牧羊
さくら句会(第169回)R3/1/25(通信句会)
一月の句会は、十名により兼題の『熱燗』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。通信句会
【参加者】晃子、恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、兆弥、牧羊(十名)
六 加湿器の蒸気真直や雪催 雪子
五 書癖の変わらぬ友の賀状来る 雪子
五 冬鷗舞ひて人なき赤レンガ 勝
四 熱燗や闇市ありし南口 雪子
四 めでたさやアクリル越しの春の礼 牧羊
三 万両の紅をくはへて鵯翔ちぬ まもる
三 星空も張り付きたるや寒の入り 利水
二 黒豆の色つややかに年迎ふ 晃子
二 熱燗やいつもの席のひとり客 晃子
二 熱燗にむせて議論も和みけり 利水
二 政府ぼん首脳くらの見通し甘し燗熱し 恵那
二 冬の星未知の宇宙を行く勇気 広
二 熱燗で流行り病に勝てるかな 二丁目
一 一升を一人であける春三日 二丁目
一 嫁たちの肌で温めし屠蘇の酒 二丁目
一 熱燗やちろりに七分の酒の嵩 兆弥
一 凍晴や祝優勝の幟旗 兆弥
一 日脚伸ぶ書斎の窓のうす明 晃子
一 熱燗やルバシカを着る老マスター 広
一 熱燗の酌した指を冷やす耳朶 まもる
一 よその鳥薄目で見やる浮寝鳥 牧羊
一礼しグランドに立つラガーたち まもる
初夢や見るには早き目覚めかな 利水
牡蠣殻の開くこと難き寒さかな 勝
熱燗のしみて寂たり土間の席 勝
日差し出て寒ゆるむ己が心も 広
風も無き人も無き三ヶ日 兆弥
コロナ止み普通の日々よ初夢よ 恵那
コロナてふ泥沼ズッポリ去年今年 恵那
意に添わぬ話のようで燗熱し 牧羊