故東直彦氏 川柳「手前の太道」 遺作

自由投稿

今年の5月にご逝去された東直彦氏(S41理工、キャロット会)の川柳遺作です。
ご遺族からお別れ編として送付されたので掲載を致します。(広報統括 榎並俊一)

芭蕉の築いた俳句の世界「奥の細道」をも包摂した広大で自由な川柳宇宙を築こうと思い、「手前の太道(ふとみち)」としています。

◇宇宙川柳・手前の太道<21年9月号> お別れ編【家元東柳】

我がユーモア人救うこと二度三度
川柳と寿司はネタの鮮度かな
見栄捨てた我との戦激しさよ
PCのニュースに欲しいインクの香
超高層輝き続ける墓標かな
屋台酒国家天下切りまくる
梅雨明けに積雲貫く虹二本
意を決し起き抜け詫びの電話する
カブト虫オスに角ありヒトと逆
旧式で脳の立ち上りやや遅し
人生の真実喜劇の中にあり
物でなく物欲し心が人縛る
平成は 平静でなし 屈折点
世界中以下同文になりたがり
英国では これはペンですと言うんだね
なんでだろう穴も無いのに空財布
曼殊沙華皆で咲いても悲しそう
真に孤独者孤独感ぜず
正月というけじめありて救われる 
この1年「君」(コとロとナ)という字に振り回され
カンツォーネ歌い終わってカラス鳴き
笑いこそ 我の最期の砦なり

家元東柳 東直彦は2021年5月永眠いたしました。未発表のものが沢山ありましたので、“お別れ編”として一部をまとめました。

永年のご拝読ありがとうございました。

(参考) 東直彦さんの「平成最後のいろは川柳百句一人」
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